第61章 クロ猫と傘と恋(黒尾鉄朗)企画転載 完結
「…絶対なんてないじゃん。
そうならないかも知れないし…
って。別にクロの好きにしたらいいけど
サッサと食べて寝て。おれ限界」
俺の好きに…して
今の状態なわけで…
拒否されたわけで…
塩味のキツいオニギリを噛りながら
何度も漏れるため息に
「…あのさ。
一回しか言わないし
別に気にしなくても良いけどさ」
背を向けてた研磨がムクリと
起き上がって俺の目を見据える
「想像にビビって完結するの悪い癖だと思う
クロはクロで
クロの未来はクロが作るんじゃないの?
”繋ぐ”って、頑張る感じが好きじゃないけど
”諦める”よりは嫌いじゃない。
使えるアイテムは使わなきゃ…」
「は?使えるアイテムなんて…」
研磨の言いたい事は分かる
でも、使えるモノなんて今の俺にはゼロ…
「傘…おれなら会いたくない人間に
絶対貸さない。」
ゼロじゃない?
でも、姫凪さんは優しいから…
でもでも…万が一…
「おれの傘、貸してあげなくもない。
どうせ雨の日なんて出掛けたくないし
オヤスミ、クロ。」
小さな期待に発破をかける研磨