第55章 ♉わざと、の効果(孤爪研磨)生誕記念 完結
ムッとして返すおれに
〈こらこら、俺に当たんなって!
ほら、前にお前が探してたアレ
鈴村と親父が見つけたって話!
聞きたきゃ俺ん家来いよ
親父はまた近々地元での仕事で
東京居ねぇから〉
声が漏れない様にか
コソコソと話すクロ
「え?ホント?
うん、すぐ行く。」
ムッとしてたのも忘れて
二つ返事で応え
〈はいはい
あ、チャント姫凪ちゃんは
撒いて来なさいよー?〉
「あぁ…うん」
激しく後悔。
『研磨?クロさんの所行くの?
アイさん達とまたお茶?』
「え…っと…」
この状況で置いて行くとか
ミッションの難易度高過ぎじゃない?
『なに??』
「…今日は…おれとクロと
クロのお父さんと鈴村さんで…その…
チョット…用事って言うか…」
おれの応えに
明らかに不満気な顔の姫凪が
『なにそれー!
クロさんは置いといて
クロパパと鈴村さん!?
絶対研磨を変な所に連れて行くじゃん!!
ねぇ?行かないとダメ?
研磨ぁ…』
怒ったり拗ねたり
コロコロ表情変えながら
おれにジャレついてくる
普通ならここで
”行かない”って選択肢一択になるんだけど
「…ごめん、姫凪
行かせて?ね?」
今日は、ダメ。
絶対行かないと…。