第48章 ♡誓いは始まり(牛島若利)生誕記念 完結
大きなため息を
箱から取り出した
細いリングに吐きかけ
何度も考え練習した
プロポーズの言葉を
口から零した
その声が
「『俺(私)の側で
これからも歳を取って下さい』」
開いたドアから響いた声と重なる
『え?えぇ?!
今のなに?空耳?!』
そこに居たのは
小さなケーキを持った姫凪
「空耳ではない
確かに俺も言った…」
偶然にしては出来過ぎだが
奇跡なんて言葉で片付けるには惜しい
「こっちへ来てくれ
もう一度…」
『うん…』
テーブルにケーキを置いた姫凪が
俺の目の前に座る
せーの、と合図を送らずとも
さっき空耳かと疑った言葉が声が
重なって響く
「どうだ?空耳じゃないだろう?」
『うん…』
「返事も揃えようか?」
『う…ん』
泣きそうな姫凪を抱き締めて
「『俺(私)で良ければ喜んで』」
ピタリと合う言葉に
胸を熱くする
もう偶然でも奇跡でも
片付けられない
言うなれば
きっとこれは運命だ。