第48章 ♡誓いは始まり(牛島若利)生誕記念 完結
『うん!忘れないでね!
寝ちゃったら嫌だよ!?
次はジェットコースター行こうか!』
「あぁ…いや…」
今日の夜
つまりは俺の誕生日の前夜
プロポーズならここだと
打ち合わせた
その夜に
まさか別の予定が入るなんて
「天童に相談…」
『若利ー!』
「あぁ、今行く…」
救世主の救いの声も期待出来ぬまま
俺は運命の時間に
近付いていった
あれから何度か
話を切り出そうとするも
盛りに盛ったスケジュールに
その隙はなく
あっという間に
太陽は闇に飲まれ
部屋には
備え付けの浴衣を纏った
俺と姫凪
もうムードだなんだ
言ってられない
このまま想いを告げて指輪を…と
手元に忍ばせた箱を取り出そうとした
その時
不意に姫凪が立ち上がり
『チョット待っててね!
すぐ戻るから!』
そう言って部屋から出て行ってしまった
まさかの事態に
今日何度目かの呆然
間抜けな顔の下で
小さな箱も
暗い影を落としてる様に見える