第47章 ♉捨て猫プリンセス(及川徹)及川徹 生誕記念 完結
そこで私が見たのは
沢山の女の子に
囲まれた彼だった
皆、大人っぽくて綺麗で
キラキラしてる花束みたい
それなのに私は…
チビで童顔で…
道端の草みたい
私なんかダメじゃん。
私が許嫁なんて
きっと彼は嫌がる………。
断らなきゃ…と…思うけど…
泣けてくる
嫌だけど
釣り合わない………
ポツポツ降る雨に
濡れながら
家に帰る気にもなれずに
フラフラと歩きまわる
転けてドロドロになった
身体は
もうクタクタで
私は近くの公園で蹲り泣いた
そこに舞い降りた
「ちょ、なに?迷子??」
『アナタ誰?』
「俺?アキラ!
及川アキラ!」
まさかの出会い。
『及川??』
「ん?なに?及川じゃだめ?」
雨を遮る傘で私を守りながら
ニコニコ笑うアキラさん
『青城の………』
「あぁ!徹の事知ってんの?
俺は従兄弟!一緒に住んでんだ〜
キミは?行く所ないの???」
行く所?
いや、ある、けど…
「こんな汚れて可哀想に!
よーし!俺が綺麗にしてあげる!
ね?おいで?
キミの名前は?」
人懐っこい笑顔に誘われる様に
首は縦に揺れ
『布施 姫凪です』
声は名前を紡ぐ
「姫凪!可愛い名前〜
なんかあったの?泣いてさ?」
陽だまりみたいに温かい笑顔に
また涙が溢れる
『なんでも、な、い!』
ゴシゴシと顔をこすると
「うわぁ!ドロドロの手で
擦ったら凄い事になるから!
取り敢えず付いておいで?
大丈夫だよ
徹は俺が何か拾って来るの
慣れてるからさー!」
クスクス笑われて
手を引かれる
私は犬猫と同じですか?!
それにまだ心の準備が!
そんな事などお構い無しで
ズルズルと引きずられて
私は及川邸へ連れて来られた