第42章 らしくないけどオマエだけ(照島遊児) 完結
俺が、その場から離れるより早く
俺に気付いたその子が声を上げ
『これ、ゴメン。
掛けないから、返す』
さっき握らせた紙を返して来た
冷たい指先が
ほんの少しだけ俺の手にあたって
サッと離れる
ガラじゃない。
分かってる…けど…
「それは聞き出して欲しいって事だべ?」
その冷たい指を俺の指で絡め取って
「なぁ?そうだろ?」
グイッと身体を引き寄せる
腕を掴んだまま人波を逆行して
硬い身体を壁に押さえつければ
強気な目が俺を睨み付けてくる
ゾクゾクと背中が粟立って
「やべ…久々にオンナで
マジに滾ったかも…なぁ…
もう番号いーや…
教えろよ、名前。
俺のオンナにしたい…」
絡めた指を解いて頬に滑らせ
唇を激しく奪った