第41章 恋色のバースデー(烏養繋心)生誕記念 完結
遠かった距離はあっという間に
髪の毛の香りまで分かる距離。
「じゃあ…行こうか…ん…?
繋心、携帯鳴ってない?」
「んー…鳴ってる…?」
座敷に置きっぱなしの携帯を
手を伸ばして掴むと確かに震えてる
だれだ?母ちゃんか?
チラリとディスプレイに目を向けると
【布施 姫凪】
待ち望んでた名前
マジか!?
「悪ぃ、俺…」
慌てて繋げた通話
聞こえて来たのは
〈繋心さん!遅くにゴメンナサイ!
あの…私、今…〉
待ち望んでたはずの声なのに
俺が聞かせたのは
「ねー?繋心ー!誰ー?」
「うわ!サクラ!シーッ!」
〈繋心?サクラ?〉
一番聞かせちゃダメな声。
「姫凪!これは違…」
〈ごめん!邪魔しました!〉
「姫凪!」
あんなに待ってたのに
あっけなく切れた通話
掛け直してみるも
繋がる事は無くて
「え?繋心って彼女居たの?
私、やっちゃった?」
サクラが焦った顔で
俺の顔を覗き込む