第36章 ♤そのままの二人で(松川一静)生誕記念 完結
「姫凪〜…?」
『……なに?』
不機嫌な横顔に溜息が漏れる
ここでの正解ってなんだ?
「姫凪…」
「まっつんさーーん!
姫凪さーん!
遅刻しますよ!!」
天の救いか最大のお邪魔虫か
及川の妹ナナの声が
通学路に響き渡る
『おはよ、珍しいね
及川と岩泉は?』
「私が寝坊し過ぎて
置いて行かれました!
お弁当も作れなかったし
今日はダメダメな日だー」
ダメダメな日
それはきっと…
『…マコに聞かれたら
だめタヌ子とか言われそうね
どう?一緒に行く?』
「はーい!まっつんさん?
行かないんですか?」
「あ~、うん…行く行く…」
俺もだ。
『さ、行こうか』
さり気なく俺との間に
ナナを挟み
俺の左手は空っぽ。