第5章 ♑愛されたがりの愛し方(黒尾鉄朗)クロの日 完結
『もしもし?』
〈ハムちゃーん?怒ってんのかァ?〉
鉄朗には珍しい暗い声
『なんで?別に怒ってへんし
用無いなら切るで』
うわ…可愛くない声…出てもうた…
可愛さの欠片もない事
言うてもうた…
〈はぁ…あのなァ?
沸点分かんねぇから…
拗ねるなら、もっと…〉
もっとなんやねん。
誰の沸点と比べてんねん
アカン…どんどん意固地なってく
謝りや
今すぐ"ゴメン"って。
可愛く言うたら笑い話になるやんか
頭では処理できるのに
…でも…ヤッパリ…アカン…
モヤモヤして笑われへん
アカン、アカン…
『拗ねてへんし
シツコいねん
しばらく逢いたない』
〈ハァ…分かった
もう良い…勝手にしろ…バカ〉
アカン、言うたやん…
プツリと切れた電話に涙が溢れる
掛け直すにも指が震えて
頭もパニックで
結局何も出来なくて
一晩中携帯を眺めたまま過ごした