第8章 ☆遠くて、遠い。【西谷夕】休止してます、、、
…私に言われてるわけじゃないのに。
彼は夜久さんに話しかけているのに。
それでもカッコいいと思って彼を見つめてしまう私は、いつもの私じゃない気がする。
「お、あのリベロが気になるのかな?シホちゃん」
「くっ、黒尾さん!!別にそんなんじゃないですよっ!」
「ふ〜ん??シホちゃんがあんなに男子のことジッと見つめるなんて、恋しちゃったのかなって思ったんだけど?」
「…違いますよ、そんなんじゃありません」
ひょいっとどこから現れたのか、黒尾さんがニヤッと笑いながらからかってくる。
なんでこの人はこんなに人のことよく見ているんだ。
「話しかけてくれば?」
「…苦手なんですってば、そうゆうの」
「研磨みたいだなぁ、お前。
じゃあ俺が言ってきてやるよ」
え、言ってきてやるよ?
待って、なにを言うつもりですか黒尾さん。
「代わりに告白してきてやるから任せろ」
ほらやっぱり!!またそんなしょうもないことを!!
でもそんなこと言ってられない。
告白なんてされたら大変なことになるし、まず私はあの人のことを好きなわけではない!!
「黒尾さん!ストップ!!ストップですってば!!!」
スタスタスターっと走っていく黒尾さん。
頑張っても追いつかないのはどうして…っ!?
あっという間に黒尾さんはあの人の元に行ってしまい、遅れて私も到着した。