第8章 ☆遠くて、遠い。【西谷夕】休止してます、、、
…あぁ、あの人が一番カッコいい。
試合に集中しないといけないのに何度も何度も彼に目を奪われ、いつの間にか3試合終わってしまっていた。
「…あれ、研磨どうしたの?」
片付けの最中、オドオドしてなんだかビクビクしている研磨が私の方に寄ってきた。
「…なんか、向こうのセッターに見られてて……」
そう言われふとあの天才に目をやると、すごい目でこちらを見ていた。…これは逃げたくなる確かに。
「話しかけてくればいいのに」
「…いいよ、そうゆうの、苦手だし」
また研磨はその視線から逃げるように、どこかへ行ってしまった。身の危険を感じた小動物みたいだよ、研磨。
そういえば、あのオレンジの人はどこにいるのだろか。
そう思ったら気になってしまい、周りを見渡すとなにやら彼はジッと夜久さんを見ていた。
…烏野はコミュニケーション苦手なの?
視線で会話するの?
不思議に思って彼らを見ているとオレンジの人の声がはっきりと私のところまで聞こえてきた。
「3番さんのレシーブ凄かったっス。
うちのエースのスパイクあんなにちゃんと拾える人初めて見ました。
あんだけ全員のレシーブのレベルが高いチームでリベロの座にいる実力、
やっぱスゲェとおもいました。
俺も負けないっス!失礼します!!」
はっきりとした大きな声。
…思わず彼に目を奪われてしまう。
私はこの言葉を聞いて、なんて彼はカッコいいんだろうと思ってしまった。