第8章 ☆遠くて、遠い。【西谷夕】休止してます、、、
…そして私は彼らのプレーに息を飲む。
「意味、分かんない…」
あり得ない速さの速攻。いつ、あの小さい子は飛んだの。なんでもう飛んでいるの。
今までに見たことないようなチーム。
ううん、見たことない、こんなチーム。
レシーブ力があるわけじゃない、安定性なんて微塵もない。
ウチとは真逆なチームといってもいいかもしれない。
「あれはとんでもねぇバケモンだ…」
監督が烏野のセッターを見てそう言った。
あぁ、確かにあのセッター普通じゃない。天才ってやつかな。
…天才って羨ましいよね、やっぱり。
カッコいいと思ってしまうもん、どうしても。
…でも、私の目に映ったのは彼じゃない。
あの、小さな1人だけオレンジ色のユニフォームを着たあの人。
なんだか、とてもオレンジが似合っている。
「…あの人、上手い」
レシーブのあの安定性。
でもすっごく全力で。ブロックフォロー出来なかった時の悔しそうな顔もすごく記憶に残る。
「ソイソイソォォイ!!」
あ、でもちょっとバカっぽい。