第7章 *優しいとこも好きだけど【菅原孝支】
「シホは俺にとって大事な女の子だよ」
そう言ってスガは私の頭を優しく撫でる。
少しだけ髪をぐしゃっとさせて、私に優しい笑みを浮かべる。
キュンとする。その笑顔。
…やっぱりスガは優しい。私がどんなワガママを言っても大人の対応をする。
撫でられているまま、私はゆっくりとスガに近づき抱きつく。
ふわっと香るスガの匂いと見た目よりも男子っぽい身体に、未だにドキドキしてしまう。
…お母さんでも全然いいや。
なんてゲンキンなやつだとは思うけど、この瞬間があるだけで満足してしまうんだ。
…でも、今日のスガはいつもと違った。
「…少し我慢しすぎたよな」
思わず零した彼の言葉はいつもより低くて、いつも以上に落ち着いていて少しビクッとする。
「…俺はお母さんじゃなくて、シホの彼氏だし、
れっきとした男だから覚悟しろよなー」
悪戯なその笑顔は、目が離せなくなるような、
大人っぽいもので私はどんどん彼に惑わされていく。