第6章 ♢キスしてそれからは【木葉秋紀】
「このままじゃ嫌だ…っ」
話さなくなったあの日から、ずっとあいつの背中ばっか見てた。
目が離せないくらいずっと。
ずっと見ていた。
木葉がいない私の生活がこんなにも地味なんて思わなかったよ。
「なんだよ私、木葉大好きじゃん………っ」
離せなくなってやっと分かった。
キスしてやっと分かった。
私、木葉好きだ。
あの笑った時に上がるつり目の目も。
私に触れるあの大きな手も。
器用貧乏な彼のバレーも。
全部全部、大好きだ。
自覚した瞬間、目元から涙が落ちてきた。
やっと気付けたからだろうか、気が抜けたからだろうか。
分かんない、全然分かんない。
でも、
いつの間にか走り出した足はもう止められなくて、
どこにいるかも分からない彼の元へ向かった。
部活が始まる前に会いたい。
言わなきゃ、伝えなきゃ。