第6章 ♢キスしてそれからは【木葉秋紀】
……その時私たちはおかしかったんだと思う。
「んっ…」
真っ暗でこんな至近距離で、雰囲気に流されてしまったのか、木葉は私にキスをしてきた。
私はそれに抵抗をすることなく受け入れる。
…夜だから。真っ暗だから。
理由なんて1つもなかった。
なんとなく、あの至近距離に頭が狂わされて、なんとなくキスをしてしまっただけのこと。
たいしたことない、別に木葉だし。
…私は1度めのキスが終わった後も彼から目を離さなかった。
彼も私から離さなかった。
「んっ、…ん…」
何度も角度を変えてゆっくり、ゆっくりキスをした。
どこかの恋人のように。
何度も何度も。
私たち、普通の友達だけど、
雰囲気に流されてキスした。
「…戻るか、」
「そう、だね」
そのあとぎこちなく別れたけど、明日にはすぐ友達に戻れるだろうと安心していた。
…別にたかが今日のキス、なんてことないと思ってた。