第6章 ♢キスしてそれからは【木葉秋紀】
…痛く、ない。
頭打ってない。
目の前には見覚えのある髪の色、髪の感触。
…なんとなく分かる彼の匂い。
「……っ!!!」
木葉が倒れる私の頭の下に手を引いたため、体は私に覆い被さるような状態になっていた。
なにしてるんだとは思うけど、戯れてるとよくある、こんなおかしなこと。
…バカな男子中学生レベルのこと。
「なにしてんだよ、お前ー…」
木葉が手はそのままでゆっくりと顔を上げる。
そうして私の目を見て少しビックリしたような顔をした。
…彼と私の距離、10センチ。
近い。
木葉がこんなに近くにいる。
…なんでだ、なんで目を逸らさない。
私も、木葉も。
なにしてるんだろう、私たち。
よく分かんない体制で、なんでこんな至近距離で。
夜遅いせいか、眠気で頭が狂ってきてるのかもしれない。
目をお互い逸らさないまま、じっと見つめたまま、私はこの後どうするべきか考えられなくなっていた。