第6章 ♢キスしてそれからは【木葉秋紀】
「木葉、いつまでたっても彼女出来なそー」
「はぁ!?なんだと!?」
そう言って木葉をからかうと、木葉は本気じゃないけど怒って私に手を伸ばしてきた。
スッと伸びてきた手は私の顔の近くに。
デコピンか、それとも頬をつねられるか。
今までの経験をもとに分析して、彼の手をかわす。
「あっ…」
………そこからは本当に一瞬だった。
バランスを崩した体は、彼とは逆の方向に倒れていく。手をかわそうとしただけなのに、上手く避けきれなかったようだ。
あ、やばい。頭打つ…。
…戯れるのも大概にしないといけないんだなって分かった。
落ちかけた時、少し目を見開いた木葉と目が合う。
焦っている彼の目と。
……倒れるまでの時間は1秒いかなかっただろう。
「…っ、あっぶねー…」
耳元で、木葉の低い声。
わずかに吐息が当たってぞくっとする。