第6章 ♢キスしてそれからは【木葉秋紀】
体育館の外。
なんとなく座った木葉の隣。
真っ暗で夜中だから静かで、私たちは何も喋らずに無言。
その沈黙を切ったのは木葉だった。
「そういやこの前、隣のクラスの奴がお前のこと可愛いって言ってたぞ」
「え、本当に?嬉しい〜」
「…あいつ、いつから目おかしくなったんだろうな」
バシッと木葉の肩を叩く。
いてぇ、と言う木葉は笑っていてつられて私も笑っていた。
こんなことが出来るのも木葉だからだ。
一番近い、男子の友達。
話はそのまま流れて、オチのないただの世間話のようになった。
木葉とはいつもこうだ。
特に話題がなくてもダラダラと話してしまう。
「あー、彼氏欲しいー」
「お前じゃ無理だろ」
ニシシっと歯を見せながら笑う木葉が少し悔しい。
なによ、木葉だって彼女いないじゃん。