第5章 ☆告白のタイミング【岩泉一】
「何泣いてんだよ、バーカ」
「泣くつもりなかったんだよ……」
耳元でクスッと笑う声。
あぁ、私やっぱり、好きだ、
どうしようもなく好きだ、この人のこと。
…どうか自分の熱が、ハジメくんな伝わりませんように。
私の涙がハジメくんを濡らしませんように。
「シホと会って、落ち着いた。
…なぁ、このままでいいから少しだけ話聞いてくれないか」
「…うん、もちろん。たくさん話して」
いつものハジメくんのバレー話が始まる。
…止まってしまえばいいのに、時間なんて。
ハジメくんは少しだけ笑って、私に寄りかかったまま話し始めた。
きっと今のは思い出し笑いなんだろうな。
きっとあの後、楽しいことでもあったんだろうな。
そう思いつつ私はハジメくんの声に耳をすませた。
「それで挨拶した後な、完全に下を向きながら歩く俺たちの前にいきなり湯田が出てきて、すっげえ泣きながら
"お前ら最高だった…!!強かったっ…!!
もう優勝でいい!!優勝だった!!"
とか言ってんの。それで志戸と沢内に抑えられたかと思うと、俺のとこ来て頭鷲掴みにしてぐしゃぐしゃにして俺の名前すっげえ呼ぶの。
なんか、逆に皆んな冷静になっちまってよ」