第5章 ☆告白のタイミング【岩泉一】
ハジメくんは少しだけ驚いたような顔して、下を向いた。
下を向いたまま彼はまた、話し始める。
「…カッコよくなんてねぇよ。
最後の一本、俺にボールが回ってきた時決め切れなかった。
及川はあのトスに完璧なタイミングで入って来てた俺を賞賛すべきだと言っていたが、トスもタイミングも完璧だったから余計悔しい。
…一度は立ち直ったんだけどな、家で1人でいるとどうしようもなくなるんだよ」
淡々と話しているように見えて、言葉1つ1つが凄く重い。少し震えていようにも見える彼は決して弱っているわけじゃない。
…やっぱりどうしても諦め切れないんだろうな、あの一本。
悔しいんだろうな…っ。
でもね、ハジメくん。
今日の試合ももちろんだけど、その前の伊達工の試合も他の試合も、本当にカッコよかったんだよ。
点を取って喜ぶハジメくんの顔、すっごく好きだった。
…悔しがる顔も全部、全部含めて大好きだったんだよ、私。