第1章 *とっくに普通以上だったよ【国見英】
「俺、前田のこと好きだから
悪いけど止められそうにない」
その瞬間、目が合う。
あ、少しだけほんの少しだけいつもより
国見くんの顔が赤い。
目から本気だって伝わってくる。
「っ!?え、国見くん…っ!?」
さっきまで友達だったのに。
さっきまで仲のいいクラスメイトだったのに。
「嫌だったら振り払っていいよ」
そんなこと言われたら、振り払えなくなる。
この国見くんの指の温度に溺れそうになる。
どうすればいいか分からなくてパニックになっていると、
国見くんのもう片方の手が動いた。
私の髪を耳にかける。
ゾクっとするこの感覚が、嫌じゃない。
嫌じゃないなんて言ったら、
もう逃げられない。
耳に触れてる指がなんだかくすぐったくて、
でもなんだか気持ちよくて。
すっごく恥ずかしい。