第3章 ♢少女漫画以上のことを【月島蛍】
「しかも腰抜けてるし」
息が辛い。
酸欠だこんなの。
いくらなんでもキスが激しすぎてる。
喋って文句を言う力すらない。
私が黙っているから月島くんは笑いながら、ひたすら私のことをいじめてくる。
「前田さんさぁ、キスとかすぐに受け入れちゃって意外と遊んでばっかいるの?」
「違うっ!」
それでもこの言葉にはカッとなって、力の限りに言った。
「じゃあ僕だから受け入れたの?」
図星だ。
月島くんだからされてもいいと思った。
月島くんにならされても構わないと思った。
…むしろされたいと思った自分がいた。
「……覚悟してよね、僕結構容赦しないから」
そう笑う月島くんの笑顔はすごく意地悪で、
一生かないそうにないと思った。
月島くんの言葉に殺された私は、
少女漫画じゃもう満足出来ない気がした。
月島くんと少女漫画以上のことを。