第1章 *とっくに普通以上だったよ【国見英】
「じゃぁ、英語からやろうか」
国見くんは部屋の真ん中に置かれた折りたたみ式の小さめの机に、ポンっと英語の教科書を置いた。
あぁ、本当に英語嫌い。
並べられたアルファベットを細い目で見つめた後、ルーズリーフを出した。
ここからこの教科書に載ってる問題と戦わなきゃいけない…
「…っ、……え??」
指に冷んやりと冷たい温度。
シャーペンを手に取った瞬間、国見くんが私の指に触れた。
「えっ、なに…」
なにドキっとしてるんだ、私。
というか国見くんも国見くんだ。
なんで私の指に触れたの。
なんで今も触っているの。
「前田の指、ずっと、細くて小さいなって思ってて」
いや、ずっと、ってなに。
ずっと見られてたなんて思うと恥ずかしさで顔が熱くなる。
たかが指。
しかも相手は国見くん。