第3章 ♢少女漫画以上のことを【月島蛍】
「……ねぇ、前田さん。ちょっと立って?」
「えっ…?」
そう言って月島くんも立ち上がる。
え、なになんで立たされたの私。
仕方なく机に椅子をしまって月島くんを見つめると、月島くんが歩いて私の近くまで来た。
そのままゆっくりと迫ってくる。
「えっ、月島くん……」
どうすればいいか分からず後ろへ下がると、ドンっと窓に背中がぶつかる。
私の席は窓の隣、つまりはこれ以上後ろに行けない。
でも月島くんは近付くのをやめてくれない。
…心臓がうるさい。
「こういうことデショ」
そう言って彼は、私の顔の横に手をついた。
その距離30センチ。