第1章 *とっくに普通以上だったよ【国見英】
「って痛たた…っ」
「もう少し寝てなよ、あとで家まで送るし」
「国見くんが吐くまで問い詰めてやるし」
うわ、本当にめんどくさいパターンだ。
絶対言うまで諦めないやつだ。
めんどくさいな、なんて思いながらそれでもやっぱ好きだなとか思って、じーっと彼女のことを見つめる。
「……ほぼ最初から好きだったよ」
何がよかったとかそんなの覚えてないけど、
ただクラスで前田のこと見て、なんとなく気になって、話して見たくなって、
話して見たらいつの間にか好きになってた、それだけだ。
「国見くん、顔赤いよ」
そう言って前田はすごく嬉しそうに笑った。
その表情を見るともう、どうしようもなく抱きしめたくなる。
よく今日まで我慢出来たよ、本当。