第13章 ♢純情すぎた。【黄金川貫至】
「いきなり持ち上げちゃってごめん…!俺、ちょっと焦っててつい」
黄金も少し恥ずかしそうにしていた。
耳が少しだけ赤いのは気のせいか、ここまで走ったせいなのか。
「じゃあ!お大事にな!!」
「うん、ありがとね」
黄金は私から離れドアのところまで行くと振り返り、大きく手を振った。なんか、黄金ってひまわりみたいだな、なんて思った。
私も手を振り返した。
その数分後、保健室の先生が戻ってきた。
「あら、お弁当持ってきてくれたの?あと薬も。…優しいのね、あの子。お友達?」
「はい、お友達です。…優しすぎて困ってます」
「ふふ、そうね」
ああ、どうしたんだろう私。
痛くてあれだけ死にたいとか言ってたくせに、今は心がすごく暖かくて。
手を振りながら笑う黄金のことばっかり考えてる。
「…ああ、痛いや」
思い腹痛と、うるさく鳴る心臓。
今の私の感情はいつもより何倍も忙しい。
お弁当を食べ薬を飲むと、なんだか安心して眠気が襲ってきた。
ジャージ、洗濯して渡さなきゃ。
その時またたくさんお礼言わなきゃ。
…黄金、またひまわりみたいに笑うかな、なんてね。
おわり。