第13章 ♢純情すぎた。【黄金川貫至】
「ゆっくりしててね」
先生はそう言い保健室から出て行った。
お昼ご飯、食べに行ったのだろうか。黄金から借りたジャージを着たまま私は腹痛に耐える。
さっき抱かれたときと同じ匂いがする。
なんだか落ち着くなあ、なんて思いながらついジャージの袖に顔を埋めると、聞き慣れた声がした。
「前田!あ、起こした!?!?ごめん!!!」
何処かへ行ったと思っていた黄金が戻ってきたのだ。
ジャージに顔を埋めるところを見られてしまったのではないかと内心冷や冷やした。
「んーん、寝てないよ。どうしたの?」
「あ、これ!薬!!」
パッと掌を開くと見覚えのある生理痛にも効く薬。
男である彼には必要でなさそうなその薬は一体どこから手に入れてきたのだろうか。
「え、これ…」
「部活のマネージャーのとこ行って聞いたら持ってたから貰ってきた!!!あと、薬飲むにはご飯食べてからだって言われたから前田の友達に言ってお弁当出してもらったぞ!」