第13章 ♢純情すぎた。【黄金川貫至】
バレー部で鍛えられたであろうたくましい体に触れ、少しドキドキしてしまう。
ああ、やだな。工業高校なんて出会いも青春もかけらも無いと思っていたのに。
生理痛の辛さが少し和らいだと錯覚してしまうほど、安心感と彼の温もりにドキドキし、思わず目をつぶってしまいそうになった。
「せんせーい!!!!」
保健室に着けば黄金はその大きな声で先生を呼ぶ。
保健室の先生もまさか女子を運んでくる奴がいるだなんて思ってないため、驚きを隠せていなかった。
黄金は先生に誘導されるまま私をゆっくりとベッドに下ろした。
「あ!!俺ちょっと行ってきます!!!」
お礼も言えないまま、黄金は私を保健室に残し足早に出て行ってしまった。時刻はお昼過ぎ。お昼休みが始まったくらいである。
先生は私に大丈夫?と声をかけ、布団を被せた。
生理痛が酷く動けなかったことを伝えると、彼は優しいのねと笑った。
優しすぎるくらいだと私は思った。