第12章 ♢ストレートと不器用。【白布賢二郎】
その日から私は白布くんのことをよく探すようになった。
容姿端麗な彼を好く女の子は少なくなく、でもとっつきにくそうな雰囲気のため、仲良い女の子などは見かけたことがない。
1年間、話すこともなく過ぎた。
でも2年生で運良く同じクラスになれたのだ。
これを機に元々人と話すことは苦手ではなかったものの、白布くんに自然に話しかけても大丈夫なようクラスの誰でも話しかけるようにした。
しかも呼び捨てで。
それでやっと話せるような関係にまで至ったのだ。
「…いつまで触ってるんですか」
「ああっ」
思い出に浸っていたらつい、夢中になって白布の髪をずっと触ってしまっていた。
「ごーめん!つい!!」
パッと手を離すと、真っ直ぐな目でこちらを見つめてきた。
大きな、綺麗な目で。
「…俺も男だから、あんまり至近距離で触られると襲うよ」
「〜っ!?」
話したはずの手の手首をギュッと掴まれ、すぐ目の前に白布の顔が。ちょっとだけ顔が赤く、余裕なさそうに見えるのは気のせいだろうか。