第12章 ♢ストレートと不器用。【白布賢二郎】
「…ずる、お前」
「ええ、なんで」
「なんか、腹立つ」
「白布とここまで話す道のり本当に長かったし、頑張ったんだから…。好きだってバレないよう色んな人に話しかけたり」
そう言って笑う彼女のことを心の底から可愛いと思った。
ああ、なんで今気づいたんだろう俺。
「お前の方が努力家だろ」
「え〜、そうかな」
「いつもの威勢どこいったんだよ」
そう言って笑うと、緊張しちゃってと笑い返す。
ああ、本当馬鹿だ俺。
「白布は、私が五色くんと仲良いと勘違いして嫉妬しちゃった?」
「…なっ!」
「私の友達がねえ、五色くんのファンらしくて、私が間に入っただけなんだよねえ」
「…なんだよ、そういうこと。はあ、なんなの」
ヘラヘラと笑う彼女。こいついつも笑ってばっかりだな。
でも、気付けばそんなところにも可愛いと思ってしまっていて。
「うっざ。本当に。…俺も好きだわばーか」
「んぐっ、白布可愛い…。ばーかとか」
「うざい」
子どもっぽい彼女は俺よりも上手だったらしい。
おわり