第12章 ♢ストレートと不器用。【白布賢二郎】
「…なんでそんな俺のこと知ってんの?」
「ん〜なんでだろうね」
「ていうか、あの時から俺がバレー部って知ってたんだな」
シホと話すようになったのはわりと最近。気さくで話しやすい彼女ではあったけど、最初から仲良いわけではないし、ましてや一年生の頃はクラスが違う。
俺のことなんて興味なさそうなのに。
「…知ってたよ、一年生の頃から。あの強豪のバレー部にスポーツ推薦じゃなくて受験して入ったってことも。ね、努力家さん?」
「なんでそれ、」
「白布って本当は鈍い?…やだなあ、私がそんなコミュ力ある女に見えてたの?」
見えてたよ。誰にでも話しかけて、人のことよくわかってて。
優しくて、誰にでも子どもっぽく笑うような奴だって。
…だから俺とも話すんだって思ってたよ。
「…私、1年生の頃から白布のこと好きなんだ、」
ああほらまた、子どもみたいに笑う。
でもいつもより照れているような、そんな表情で。