第12章 ♢ストレートと不器用。【白布賢二郎】
最悪だ、最悪。
シホと仲良い五色に嫉妬して、シホに当たるなんて。
場違いにも程がありすぎる。
ぐしゃっと髪を掴みたい衝動に駆られたが、そんなかっこ悪い姿をシホ見せるのは、と思いなんとか止まった。
「…っ!?」
思わずシホの目を見ることができず、机に視線を落とした瞬間ふわっと香るシトラスの香り。
「…白布は、不器用だよね」
彼女が俺の前髪に触れ、そう言った。
驚いたパッと顔を上げると、優しく微笑む彼女の顔。
大人びてて、優しくて、思わず目を奪われるような。
「綺麗な顔で、冷静沈着そうなのにわりと短気で。負けず嫌いで。
それでなお、すっごく努力家で。感情がちょっと分かり易いんだけどね」
「なっ、」
「あとね、白布はちょっと余裕なくなると前髪を触るの。五色くんの話する時毎回触ってた。
…あと、バレーのこと考えてる時に授業中当てられた時とか」