第12章 ♢ストレートと不器用。【白布賢二郎】
…やばい。変なこと思われたらどうしよう。
きっとシホは察しが悪いような鈍感女じゃないだろうし。
…というか、変なことってなんだよ。
ふと思ったそれは心臓をギュッと掴んで離さない。
気持ち悪い。
こんなんまるで、俺がシホのこと…
「ん〜、五色くんの髪めっちゃサラサラで好きかな〜!」
キョトンとした顔が一変して、にか〜と彼女は笑った。
夕陽に照らされたその笑顔があまりにも眩しくて…悔しくて。その笑顔の意味が五色なのがすごく腹立たしくて。
ああ、もう、
「そんな理由だったら俺でもいいだろ!!」
ぐるぐると渦巻く俺の感情は爆発した。
ガタッ!!と勢いよく朝から立ち上がり机を叩いてしまった俺。
またもや彼女の表情は一変して、驚いた表情に。
ああ、何言ってんだ俺。最悪だ。
やってしまった、という感情がぶわっと湧き上がる。
「…ごめん。忘れて」
そう言って俺はまた席に座った。