第12章 ♢ストレートと不器用。【白布賢二郎】
そんな感じで教えていると、もうクラスには誰も残ってなくて、俺とシホの2人だけになっていた。
気付けば時間も1時間半ほどすぎて、空はオレンジ色に染まっていた。
「ん〜!ちょっと休憩!」
「ん、」
ぐ〜っと伸びをする彼女。手に持っていたシャーペンを置いて、ふと窓の外を向いた。
…彼女の横顔はとても綺麗だった。
「…五色と仲良いの?」
「ん?五色くん?ん〜どうだろ、悪くはないと思うけど」
「あっそ」
「聞いてきたくせに冷たいね!?」
口を開けば五色のことを聞いてしまう俺。アホみたいに気にかかってる。
別に五色とこいつが仲良かろうが悪かろうが、俺には関係ないし、どうでもいい。どうでもいいはずなのに。
「…この前会ったばっかりのくせに、連絡までとって、五色のこと好きかよ」
なんとなく溢れてしまった言葉は、戻すことができなくて。
なんだこれ、何言ってんだ俺。
やってしまったと思ったのも束の間、シホはキョトンとした顔で俺のことを見ていた。