第12章 ♢ストレートと不器用。【白布賢二郎】
はあ?
前田がニコニコと笑いかけながら五色の元へ近づく。五色はいきなりの褒め言葉に動揺し顔が真っ赤だ。
腹立つ。なんか分かんないけど腹立つ。
前田は五色のことが気に入ったのか、そのまま二人で話し出した。
「あれれ〜、工に気がある感じ〜??変な子〜!」
「…ほんっと趣味悪」
「賢二郎、ソレ、さりげなく工のことディスってるヨネ〜」
天童さんはニヤニヤしながら目の前の状況を牛島さんに話すが、牛島さんは「そうか」と言っただけ。
いつもならこんな他人のことが気になることはないのだが、今日はすごく気になるしイラつく。
なんであんなニコニコしてんの。意味わかんねえ。
160ない身長の彼女がスッと手を伸ばし、五色の髪に触れた。五色は少しビックリしたようだが、すぐ彼女の身長に合わせて少しだけ屈んだ。
そんな二人の様子を後ろから見ながら、内心すごくイライラしていた。