第12章 ♢ストレートと不器用。【白布賢二郎】
「え!!!!白布さん!!彼女ですか!!!!!」
耳元でバカうるさい声が響く。
「お前はなにを聞いてたんだよ。クラスメイトだから」
五色の大声に対し、ギッと五色のことを睨むと、ヒィッと背筋を伸ばし怯えた。
コイツほんと馬鹿だと思う。
少し女子と話しただけで騒がれると少し面倒で、思わず小さなため息が溢れる。
俺たちは常にバレー漬けだから、浮ついた話なんて微塵も聞かない。だからこそすぐこうやって盛り上がるのだ。
「ああ!もしかしてキミ、噂の五色くん!?」
「…はあ?」
いきなり彼女は目を輝かせ五色のところへ駆け寄った。
噂ってなんだ?
「ハ、ハイッ!!」
びっくりした五色は思わず声が裏返っていた。
なんでアイツ、五色のこと知ってんだろ。他学年だし、バレー部のこと全く興味なさそうなのに。
なんとなく考えがぐるぐると回り、少しだけイラっとした。
「友達がバレー部の一年生で髪の綺麗な可愛い男の子いるって言ってたんだけど、近くで見ると背高いしかっこいいね〜!」