第11章 *アルコールと冬【北信介】
「…意外とあるんやなあ」
「じっ、じっと見て感想を述べないでください!恥ずかしい!」
「すまんすまん」
ふふふ、と楽しそうに笑う彼はとても余裕そうに見えた。
私の体を触る手つきすらも優しくて、たまに意地悪でちょっと強めに触るから彼はずるい。
ふわっと触るから、ムズムズする。
「ひゃっ、!」
「ココがええんか」
胸の先を弾かれ、思わず声を上げると北さんは執拗にそこを触ってきた。ずるい、気持ち良すぎてすでに頭はキャパオーバーだ。
「…っ、余裕そうですねえ、北さん」
「…こんなカッコしてる好きな奴前に、余裕なんてあらへん。心臓バックバクや」
バックバク。
北さんは私の手首を掴み、自分の胸へ当てた。
バックバク。北さんが言った通り、北さんの心臓はうるさくて、手からそれが伝わってきた。
「やっと抱けるんやからなあ、そらな」
そう言った北さんの顔は、少しだけ余裕がなかった。ああ、あんなにいつも完璧な人が私でこんな風になってくれるなんて。