第11章 *アルコールと冬【北信介】
「あのー…、北さん?大丈夫ですか…??」
私の膝の上でぐったりしている北さん。見たことない状況すぎて私もテンパってしまっている。
彼は蕩けた虚な目で私のことを見ると、ふにゃりと笑った。
「なんや、シホかあ。今日も可愛らしいなあ」
「…?!」
北さんはそのまま私のことをぎゅっと抱きしめてきた。
「えっ、えっと、北さん…???」
いつもだったら絶対に言わないその言葉に動揺を隠せない。
酔い潰れてしまった彼はもう、いつもの北さんではなかった。
でも、そんな北さんにドキドキしっぱなしなのは事実だ。
ぐんっと肩を押され、床にわたしはそのまま倒された。もちろん、いつのまにか腰に手が回されていて痛くなく、優しく。
私は今、北さんに押し倒されている…?
「ほれ、こっちみ」
ぐいっと顎を持ち上げられ、至近距離にいる北さんを見上げた。
こんなことされたことないので、心臓の音がバクバクとうるさい。北さんは酔うとだいぶ変わってしまうのか。