第11章 *アルコールと冬【北信介】
「北さんあの…んぅ、」
突然降ってくる優しいキス。
ゆっくり、角度を変えながら何度も何度も奪われた。
初めてといっても過言ではない、この甘い雰囲気。慣れてなさすぎて、もうハタチはすぎているのにそのまま溺れてしまう。
「ほんまかわええなあ、俺の彼女は」
「北さんだいぶ酔ってますね、ここ、玄関なのでとりあえず部屋にいきましょう…?」
「せやなあ、シホもこんなところじゃ腰痛めてしまうわな、すまん」
酔ってるわりにはいつもと同じ気遣いをしてくれる彼はやっぱりいつもの北さんなのだけど、あんなにキスをしてくると考えるとだいぶ酔ってるんだなと思う。
でも、ちょっと嬉しい。あんなキス、いつもだったら出来ないし…。
なんとか北さんの部屋まで移動し、お水を持ってこようと一度北さんから離れようとした。
「どこ行くん」
するとぐっと北さんに手を掴まれた。
「北さんめっちゃ酔ってるから、お水持ってこようと思って…」
「いやや、行かんでええ」