第11章 *アルコールと冬【北信介】
…私実は北さんとそうゆうこともしたことないんだよなあ。
そう、北さんはいわゆる硬派。
多分、年齢的に責任が持てるまでそうゆうことはしないのであろう。
そんな北さんだから好きなんだけども、ちょっとね、さすがにね、女としての魅力がないのかなとまで思ってしまう。
「うう、寒い…」
びゅうっと吹いた風に思わずそう溢す。北さんは特におしゃべりな方ではないので、今みたいに沈黙する時も多い。のだが、
「明日な、仕事早上がりやから呑んでくる」
ふと珍しい事を言ってきた。
「北さんが呑みに行くなんて珍しいですねえ」
「まあ、高校の部活のあいつらに誘われてな」
ふふ、と微笑んだ彼。
珍しい、宮兄弟にでも呼び出されたんかな。部活の人の話になると微笑む機会が多い彼は、よっぽど部活の人たちが気に入っていたんだなと思う。
侑経由で北さんと知り合った私は部活のことはそこまでよく分からないけど、嬉しそうな顔する北さんはとても好きだ。
「いってらっしゃい。気をつけてくださいねえ、家で待ってます」
そう言って話している間に私達のマンションの部屋に着いた。