第10章 *嫉妬と無自覚【角名倫太郎】
◯おまけ
「…へえ、角名も嫉妬なんてするんやな」
「私もビックリしたよ…、私も体幹鍛えようかな」
「シホには無理やない?」
「やっぱりそう思うよね…」
治にこの前あった『角名りん嫉妬事件』について話すとケラケラ笑いながら聞いてくれた。
あの日はもう、激しすぎて死ぬかと思った。
「角名のやつ、体幹あるからやばそうやな」
「そうなんだよね、無気力っぽいとこあるからいつもは平気なのに」
「おもろ」
「角名りんめ…っ、チベットスナギツネみたいな顔して怒るし正座させられるし」
角名りんと勝手に呼んでいるが本人の前では言ったことはない。
怒られそうだから。
いつももチベットスナギツネみたいな顔してるけど、あの日の方がチベットスナギツネだった。顔が怖くて。
「今度から気をつけんとな」
治は人ごとのように笑いながら、お弁当をむしゃむしゃと食べ出した。
人ごとなんですけども確かに。