第10章 *嫉妬と無自覚【角名倫太郎】
多分嫉妬してくれてたんだと思うけど、そう思うと珍しく角名が余裕なくてちょっとドキドキした。
いつもやる気なさそうで余裕ありまくりだから。
でもちょっと体力持たないし腰も痛いから、たまにでいいかな本当に。
そんなこんなで放課後、部活に向かう途中で角名に会った。
「あ、角名〜やっほ〜」
いつもと変わらず角名に声をかけると、その鋭い目がいつもより鋭さを増して私のことを見てきた。
あれ、この前見たぞ…?この目を…。
「ねえ、『角名りん嫉妬事件』って何?」
「ひい!な、なんでそれを…!!!」
勝手に名付けた事件名をなぜか角名が知っていたのだ。
嘘、嘘だ。なんで角名が知ってるの…!?
頭の中が一瞬で真っ白になり、口をパクパクさせながら角名を見るとフッと角名が微笑んだ。
優しい笑いなんかじゃない。もはや恐怖の笑み。
「治から聞いたんだけど?なーんで治が知ってるんだろうね?」
「あっ…」
治め、あいつ言いやがったな本人に。
と、思う暇もなく角名の目が私を離さない。
「よーく話聞かせてね?」
この言葉を聞いて私はまた正座させられるんだろうなと思い、やっぱり体幹を鍛えようと決心した。
ちなみに角名りんと呼んでることも全部バレてた。
おわり。