第10章 *嫉妬と無自覚【角名倫太郎】
「え、そうなの」
「体幹は触っても分からないもんだよ」
シホが分からないにしても侑はそれぐらい分かっとけよ、と思ったが、侑もたまに馬鹿みたいなことを言う。
プレー中は頭がキレて賢いと思う時もあるのに、子どもじみた態度の時もある。だからこそこの二人の馬鹿な会話が成り立つのだ。
それにしても、それにしてもでしょ。
「…彼氏でもない男の体をベタベタ触るのはどうかと思うんだけど。ねえ、反省してる?」
「ひい、ごめん、ごめん角名…」
俺が怒っていることを理解したのか、手を合わせてごめん〜と焦りながらいう彼女。くっそ、そんなとこも可愛い。可愛いけど反省しろ。
やばいい、チベットスナギツネみたいな顔がよりいっそうチベットスナギツネだよ…なんてボソボソと言っているが口に出ていること気付いてないんだろうか。
「シホが触っていい男は俺だけだから」