第10章 *嫉妬と無自覚【角名倫太郎】
「…昨日、侑と部活前何話してたの」
察しの悪い彼女に、諦めて自分から話すことにした。
思い出すだけでもムカつく。シホは俺の彼女なのに。
シホに自覚がないことも、侑がシホと仲良いことも全部気に触る。
そう言うと彼女は思い出したのか、パッと顔を上げた。
「体幹!体幹の話した!!」
「…は?」
そうだそうだ、体幹の話だ〜と思い出せたことがホッとしたのか、さっきまで百面相していたにもかかわらず、いつもののほほんとした表情に戻った。
「角名の体幹がすごいから俺も鍛えてるんやって自慢されて、
「いつも角名のこと触ってるやろ?確かめてくれ!」って言われたから確かめてた!!!」
体幹。
そう聞いて拍子抜けてしまい、あれだけイラついていたにもかかわらずイラつきは少しだけ収まってしまった。
「体幹は触っても分からなくない?」