第9章 ♢色っぽくて意地悪なキミと。【松川一静】
◯おまけ
「まっつん、あの女の子なにー?彼女ー??」
「いや、違うけど」
放課後、及川がもごもごと肉を頬張りながらそう聞いてきた。
「俺らは見たぞ!松川があの子の頭を触っているところを!」
「松川あいつの事好きなのか??」
全員揃って質問攻めにしてくるわりには、すごい勢いで肉を食べている。部活を引退しても相変わらずの元気さだ。
あいつ…とは、前田シホのことだろう。
「さあーどうだろうな〜」
「なんだそれ、絶対好きじゃねえか」
「松川って大人っぽい歳上が好きなのかと思ってた」
「俺もそう思ってた」
前田はいつも授業中寝ていて、なかなか起きず友達に起こされ昼ご飯の時だけ元気に食べている。
一度前に話したときにあいつのバカっぽいリアクションを見てからそれに釘付けになってしまい、いつの間にか目で追ってしまっていた。
そして今回の席替え、やっと近くになったのだ。
近くになったからには俺のことを意識してもらいたい。
そう思い、上手く一緒に勉強するまで取り付けた。