第9章 ♢色っぽくて意地悪なキミと。【松川一静】
教室の外に出て、松川の隣に初めて立ったのだが…。
松川さん、思ったより身長が大きかった。
185センチ以上ある彼の隣は、160ある私の身長ですらとても小さく感じてしまう。
いつもより顔を上にあげないと、彼の顔は見えない。
松川って、やっぱ男の子だ…。
特に意識していなかったから尚更、その事実に緊張してしまい心臓がぐわあああってなる。
いつも後ろから見ていた角度とは違うところから見ているから分かることなんだろう。
って言っても松川は松川なんだけどなあああああ。
頭に手を当て、必死に落ち着こうと頭をぐいぐいと押した。
「おっと、あぶな」
その声と同時に、腕を引かれ松川の体にぶつかる。
頭の中で唸っていたせいで、全く前を見ていなかったのだ。
「前、柱だよ?なに変な顔してんの?ぶつかるぞ?」
「あ、ちょっと考え事してた、ごめん」
「気を付けろよな、学校の中だぞ」
そう言って彼が私から手を離しまた歩き出す。