第9章 ♢色っぽくて意地悪なキミと。【松川一静】
そして思ったより早くきてしまった、放課後が。
午前中は勉強会の話を忘れるために、爆睡をかましたものの、午後は気が気じゃなくなりぱっちり目を開けていた。
もちろん、授業は頭に入ってきてない。
「珍しい、今日は起きてんの?」
「お、起きてみました…」
「なんだそれ」
そう笑った松川の笑顔を見てしまうと、またその色気にやられてしまいそうなので、出来るだけ目を合わせなかった。
昨日から、なんだ、何してんだ私。
松川のことずっと考えてどうしたんだ、やっぱり色気にノックアウトされてしまったのだろうか。
頭が悪いのは元からだが、さらに悪くなった気がして、頭が痛い。
「勉強するの、図書室でもいい?」
「いいよ!でもなんで図書室??」
「あんま人いなくて静かだから。多少話しても平気だし、集中できるだろ?」
松川は頻繁に図書室で勉強でもしているのだろうか。私は一度も行ったことがないと言っていいほど、図書室とは無縁な高校生活を過ごしてきた。
松川が図書室…、似合う。すごく似合う。
「おーい、松川。教科書あざー」
そんな妄想していると、横から花巻が教科書を持って松川の隣に来た。