第9章 ♢色っぽくて意地悪なキミと。【松川一静】
私の髪を触る松川の顔があまりにも優しくて、顔を上げるにも上げられない。…この、色男め。
私がそんなことを悶々と考えていると、教室の外が賑やかになってきた。
「まっつん!!!!!ご飯食べ行こう!!!!」
教室内に響く高い男の人の声。
松川が呼ばれたのにも関わらず、びっくりしてしまい頭を思いっきり上げてしまった。その瞬間、松川の手が離れたのがわかった。
「うるせえ及川!!ちょっと黙っとけ!!」
「いったいな!岩ちゃん!もう少し及川さんに優しくして!及川さん悲しい!!!!」
「松川〜、ケーキ屋行こうぜ〜」
「違う!!今日はお肉って言ったじゃんマッキー!どうせシュークリームでしょ!?今日ぐらい我慢して!!!!!」
教室のドアのところで他クラスの及川、岩泉、花巻がなにやら松川を呼びながら騒いでいた。主にうるさいのは残念なイケメン及川だと思うけど。
「ごめんな、うるさくて起きたろ」
「い、いや!おかげで家帰れる!ありがとう!!?」
「お〜それはよかった」
松川は自分のカバンのファスナーを閉め、立ち上がった。