第9章 ♢色っぽくて意地悪なキミと。【松川一静】
…んん、ズルイ。お前絶対歳誤魔化してるだろ、なんて思ってしまうくらいに。
「そんな松川さんの点数はいくつです?」
「残念、満点でした」
「んぬっ」
ニッと悪戯げに笑う松川。頭もいいのかあ、すごい。
先生がまだ他の人のテストを返している中、松川の体は横に向き私に話しかけている。決して真面目そうな雰囲気はないけど、いつも余裕そうで。
馬鹿ですぐ授業中寝てしまう私とは大違いだ。これでも受験生だっていうのに。
眉間にシワが寄るのが自分でもわかる。そんな私を見てかわいそうだと思ったのか、ふと松川がこんなこと言う。
「俺と一緒に勉強する?小テスト前とか」
少し首を傾げ私の顔を覗き込みながら聞いてきた。
「え、いいの」
「お〜俺も小テスト前くらいしか勉強しないし、少しなら勉強見てやれるよ」
頭いいわけじゃないけどな〜と話す松川。
ああ、そうか。松川部活引退したんだ。いつも放課後は花巻とかと部活に行く姿を見ていた気がするけど、もう終わってしまったのか。