第9章 ♢色っぽくて意地悪なキミと。【松川一静】
松川一静。
同じクラスで同い年なはずなのに、彼はどことなく大人っぽくて色っぽい。
もちろん、本人に言ったことはないが彼の色っぽさにドキドキしている女子も少なくないのではないだろうか。
「…お〜、ひっでえ点数」
「ぎゃっ、松川…」
この前の席替えで松川は私の前の席になった。私の席は窓側の一番後ろ。こんな席になったものだから思う存分寝ていたのだが。
…まあ、酷い点数だこれは。
配られた英語の小テストは散々なもので。私の点数を覗くために振り向いた松川は小さな声で笑っていた。
風が吹き松川の髪がふわっとなびく。
「お前そんな英語出来なかったっけ?」
「この席が悪いと思うんですよね、」
「はーい、言い訳」
「いてっ」
口を尖らせ言い訳をする私に、ばちっとデコピンをかます松川。
思わず出た可愛げない声に「可愛くないな〜」なんて彼はこぼす。
わりと近い距離でフッと笑う松川の顔はなんとも色っぽくてドキドキしてしまう。心臓に悪い。この色っぽ男め。